お茶はコーヒーに負けたのか? 暮らしの変化から考える、日本茶のこれから

日本茶は、コーヒーに負けたのでしょうか。もちろん、今もペットボトルのお茶は広く飲まれていますし、家庭で急須を使う方もいます。それでも、朝の通勤途中や仕事の合間に選ばれる一杯としては、コーヒーの存在感が大きくなりました。私は、その理由がお茶の味にあるとは思っていません。かつて日本茶は、「日常茶飯事」という言葉が示すほど、説明しなくても暮らしの中にある飲み物でした。ところが生活様式が変わり、飲み物の選択肢が増えたとき、お茶は選び方や楽しみ方を十分に伝えられなかった。一方、コーヒーは現代人の生活に合わせて、商品、店、空間、言葉を変えていきました。お茶が負けたとすれば、味ではなく、暮らしへの入り方だったのではないか。今回は、そんな視点から日本茶の現在とこれからを考えてみます。

本記事から分かること

 ・お茶が「当たり前」ではなくなった理由

 ・日本茶を、今の暮らしに戻すために

 ・流芳園オススメのお茶の紹介

記事の信頼性

流芳園の景観

・緑茶発祥の地 宇治田原に店舗

・創業200余年の日本茶専門店

・農林水産大臣賞を複数回受賞

お茶が「当たり前」ではなくなった理由

私の感覚では、1970年代頃まで、お茶は家庭にあることが当たり前の飲み物でした。「日常茶飯事」という言葉があるくらい、わざわざ魅力を説明しなくても飲んでもらえたのです。ただ、暮らしが変わり、飲み物の選択肢が増えたとき、その当たり前に甘えていた部分が弱点として現れました。

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選ばなくてもよかったお茶、選びやすくなったコーヒー

昔のお茶は、あえて選んでもらう必要がありませんでした。家に茶葉があり、誰かが急須で淹れ、家族や来客が飲む。それが日常だったからです。そのため、お茶の世界では「このお茶はどんな味なのか」「どんな人に向いているのか」を、分かりやすく伝える努力が十分ではなかったように思います。コーヒーなら、ホットかアイスか、ブラックかラテかを選べば、飲む前からある程度の味を想像できます。一方、日本茶には煎茶、玉露、かりがね、ほうじ茶など、さまざまな種類があります。それは本来、お茶の豊かさです。ただ、名前や価格だけを見ても、どれが甘く、どれが軽く、どれが香ばしいのかが分からなければ、初心者の方には選びにくいものになります。特に煎茶は、抹茶ほど色や味が強くなく、繊細な違いを持つお茶です。その繊細さを、誰にでも伝わる言葉にできなかったことが、お茶の分かりにくさにつながったのだと思います。

暮らしに入ってきたコーヒー、手間の印象が残ったお茶

1970年代頃から、人々の生活は少しずつ忙しくなっていきました。当時は、西洋の文化を新しく格好いいものとして受け止める空気もあり、コーヒーは時代に合った飲み物として広がっていったのだと思います。その後もコーヒーは、一人分だけを買える、通勤途中に持ち歩ける、仕事をしながら飲めるという形で、現代人の生活に入り込んできました。コンビニコーヒーは、その分かりやすい例です。一方のお茶には、家族や来客のために急須で淹れる飲み物という印象が残りました。核家族化や共働きが進み、家族全員が同じ飲み物を囲む生活から、それぞれが好きな飲み物を選ぶ生活へ変わったにもかかわらず、お茶はその変化に十分対応できなかった。急須が悪いわけではありません。ただ、急須以外の入口をもっと早く、分かりやすく見せる必要があったのだと思います。

茶業者の独り言:コーヒープレスでお茶を淹れる
実は、コーヒープレスでお茶を淹れると思ったよりも苦くならない。コーヒープレスは、圧力をかけて味わいを浸出させやすくする器具です。器具の動きについては、「プシュ、プシュ」と早く動かせそうなので緑茶を淹れると苦く濃くなりそうなのですが、実際は少し違います。まず、水分を入れてコーヒープレスでポンプすると想像以上にゆっくりとしか動かない、スピードを上げようとしても上がりません。結果としては、適度な圧力が緑茶の抽出を心地良くしてくれるといえます。実際にコーヒーで使用されているプレス機があれば、しっかりと洗浄していただきお試しいただきた方法です。参考に緑茶をコーヒープレスで淹れる方法を載せた記事を下にご紹介させていただきます。


コーヒープレスで楽しむお茶の新しいカタチなどの記事もご参考にご覧ください。

旬の茶葉とその変化:フライパンやコーヒープレスで楽しむお茶の新しいカタチ!?

コーヒーは「時間」を届け、お茶は茶葉を売ってきた

カフェで提供されているのは、コーヒーだけではありません。豆を挽く香り、落ち着いて過ごせる空間、休憩や会話、仕事をする時間も含めて、一つの体験になっています。お茶の世界は、良い茶葉をつくり、良い商品を届けることには力を注いできました。ただ、その茶葉に触れる面白さや、お茶を飲む時間の価値まで、十分に伝えられていなかった部分があります。日本茶にも、体験としての魅力はあります。茶畑を見る、茶葉に触れる、香りを比べる、温度の違うお茶を飲み比べる。特に煎茶は、見るだけ、説明を聞くだけでは分かりにくくても、実際に触れて飲むことで、印象が大きく変わります。流芳園でも、少人数で茶葉に触れてもらう体験を試しています。お茶を売る前に、まず味に興味を持ってもらう。その入口をつくることが、これから大切になると思っています。

日本茶を、今の暮らしに戻すために

日本茶がコーヒーと同じものになる必要はありません。また、コーヒーを飲むのをやめてもらう必要もないと思います。朝はコーヒー、食事にはお茶、暑い日は水出し茶でもいい。大切なのは、今の暮らしの中に、日本茶を選べる場所をもう一度つくることです。そのためには、伝統を守りながらも、入口の形は柔らかく変えていく必要があります。

日本茶の強みは、繊細さと選べる幅にある

日本茶の分かりにくさの原因でもある「繊細さ」は、そのまま日本茶の強みにもなります。同じ茶葉でも、お湯の温度を変えるだけで、甘み、旨み、渋み、苦み、香りの出方が変わります。水出しにすれば甘みを感じやすくなり、温かく淹れれば香りや複雑な味わいを楽しめます。季節によっても感じ方は変わります。新茶には若々しく力強い味があり、時間がたつと落ち着いたまろやかさが出てくることもあります。また、日本茶は食事と一緒に飲むことができ、毎日何杯も楽しめます。その一方で、丁寧に淹れれば特別な一杯にもなる。日常と特別の両方に寄り添えることが、日本茶ならではの魅力だと思います。

急須を手放すのではなく、入口を増やす

日本茶を広げるために、急須をなくす必要はありません。ただ、最初から急須だけを入口にする必要もないと思います。ティーバッグ、水出し、マイボトル、マイマグなど、今の生活に取り入れやすい方法から始めてもらえばいい。例えば、ティーバッグをマイマグに入れ、氷水を注いで持ち歩くだけでも、ペットボトルとは味も満足感も違います。コンビニに飲み物を買いに行く時間も必要ありません。水出し茶は、一定時間を過ぎても味が崩れにくく、初心者の方でも失敗しにくい方法です。まずは一口飲み、「思っていたより甘い」「いつものお茶と違う」と感じてもらう。そこから興味が生まれたら、急須や湯温、品種、産地など、少しずつ深い世界に進んでもらえばいいと思います。

流芳園が届けたいのは、その人に合う一杯

流芳園では、お茶を単純な上下関係で並べていません。一つ上の商品を買えば、同じ味がそのまま高級になるという考え方ではなく、それぞれ違う方向の味を用意しています。しっかりした味が好きな方、軽くたくさん飲みたい方、甘みを楽しみたい方、香ばしいお茶が好きな方では、合うお茶が違うからです。ただ、商品名だけでは味の違いが分かりにくいところもあります。だからこそ、お客様が普段どんな飲み物を飲み、どんな味を好んでいるのかを聞きながら、その方に合う一杯を案内したいと考えています。また、飲み比べや体験を通じて、「説明を聞いて分かる」のではなく、「自分の舌で違いに気づく」時間もつくっていきたい。お茶を買って帰るだけでなく、一口をしっかり味わい、少し新鮮な感覚を持って日常へ戻ってもらう。流芳園が届けたいのは、そんな一杯です。

まとめ

日本茶がコーヒーに負けたとすれば、それは味そのものではなく、今の暮らしへの入り方だったのだと思います。コーヒーは、一人分、持ち歩き、空間、体験という形で、人々の生活に合わせて変化してきました。一方のお茶は、昔から飲まれていたことに甘え、選び方や楽しみ方を伝える努力が足りなかった。ただ、日本茶の魅力がなくなったわけではありません。急須で丁寧に淹れる一杯も、水出しやティーバッグで気軽に楽しむ一杯も、どちらも日本茶です。流芳園では、普段飲んでいるものや好きな味をお聞きしながら、その方に合うお茶をご提案しています。最初からお茶に詳しくなる必要はありません。まずは茶葉から淹れた一杯を飲み、いつものペットボトルとの違いを感じてみてください。コーヒーをやめなくてもいい。その日の気分や食事に合わせて、日本茶も選べるようになる。その小さな変化から、お茶との新しい付き合い方が始まるのだと思います。

煎茶 特撰【とくせん】

流芳園の特撰

「特撰」は、目利きの技術を使用し、
品質の良い茶葉を見極めつつ、バランスの良いお茶を作っております。

また、目利きの技術以外にも、
ブレンドの技術と、仕上げの加工技術も使用しているため、
流芳園の技術の結晶とも呼べるお茶と言えるでしょう。


「特撰」は熱めのお湯でも美味しく淹れることができるため、
お茶に詳しくない方でも淹れやすいお茶となっております。
普段使いにもぴったりです。

茶種:煎茶【一番茶100%】
料金:1,080円 / 66g(税込)

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素朴仕立 友白髪【ともしらが】

清涼感、抹茶のような香り、コクのある味、マイルドな味わいなど、
バランスが効いている茶葉になります。
初心者の方でも淹れやすいお茶になるので、
お茶を嗜んでみたいと思っている方にはとてもオススメの商品です。

「水出し茶」にもおすすめの万能茶。

茶種:素朴仕立(かぶせ茶)
料金:864円 / 66g(税込)

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雲上の鶴【うんじょうのつる】

流芳園の雲上の鶴

昔ながらの製法である、藁(ワラ)などで被覆することによって、
完成した碾茶(抹茶の原料)を使用。
そうしてできた抹茶の香りは特別で、宇治抹茶伝統の生産技術のひとつ。
濃茶・薄茶ともに使用できる商品であり、
それぞれの淹れ方により味や香りが変わる高級な逸品。

茶種:抹茶
料金:3,737円 / 40g(税込)

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雁が音焙じ【かりがねほうじ】

流芳園の雁が音焙じ

「浅煎り」焙煎の雁が音焙じは、
お客様やご自身のティータイムなどにはゆっくり急須で淹れて、
香りを堪能することもできます。

さらに、暑い夏や冷たいものを飲みたいときには急冷して楽しめます。
水出し茶にも向いていますので、冷ややかな味わいがお好みの方にもおすすめです。
毎日の水分補給にピッタリ!

茶種:ほうじ茶
料金:528円 / 80g(税込)

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