こんにちは、流芳園(りゅうほうえん)です。
お茶はその発酵の度合いによって、緑茶、紅茶、烏龍茶といった異なる種類に分類されます。特に日本茶は、発酵を抑えた独自の製法が発展してきましたが、発酵そのものが茶の味や香りにどのような影響を与えるのかを知ることは、お茶の楽しみをより深めることに繋がります。この記事では、茶葉の発酵に欠かせない萎凋(いちょう)や殺青(さっせい)といった重要な工程について解説したのちに、発酵が生み出す風味と香り、そして日本茶の独自性について探ります。
「お茶の発酵のメカニズムとは?」
「お茶と日本文化とは?」
今回はこういった疑問にお答えします。
☑本記事から分かること
・お茶の発酵のメカニズムとは?
・お茶と日本文化とは?
・流芳園オススメのお茶の紹介
☑記事の信頼性

・緑茶発祥の地 宇治田原に店舗
・創業200余年の日本茶専門店
・農林水産大臣賞を複数回受賞
発酵の役割とお茶の種類
発酵はお茶の味と香りを決定する重要なプロセスです。しかし、発酵という自然のプロセスを我々人類はどのようにコントロールして理想的な茶葉を作り出してきたのでしょうか? 本日は、まず萎凋(いちょう)と殺青(さっせい)という発酵における基本的な工程と、それが茶葉にどのような変化をもたらすかを解説します。
萎凋(いちょう)とは
萎凋とは、簡単に説明すると茶葉を酸化させることです。発酵の初期段階として、萎凋(いちょう)は茶葉を摘み取った後に風通しのよい場所で自然にしおれさせ、茶葉の香りを高める重要な工程です。この過程で発酵が進み、茶葉に華やかな香りがつきます。
殺青(さっせい)とは
殺青(さっせい)とは、酸化酵素を高温で抑制する工程で、加熱して茶葉の酸化発酵をしていく酸化酵素を失わせることです。緑茶のような爽やかなお茶は、早い段階で殺青する(酸化を止める)ことで出来ます。茶葉の風味と香りを一定に保つために欠かせません。殺青を発酵過程に組み込むことで、任意の発酵具合で茶葉を留めて、我々が求める香りや味わいの茶葉を作り出します。
紅茶や烏龍茶の発酵
紅茶や烏龍茶は萎凋や殺青の工程を活用し、茶葉を作り出しています。紅茶は完全発酵を行い、深い香りと味を生み出します。中国から伝わったこの発酵技術は、インドで風味を高めるべく完全な紅茶が出来上がったとされています。一方、烏龍茶は部分発酵によって、緑茶と紅茶の中間的な風味を持ちます。烏龍茶は華やかな花のような香りが特徴で、発酵度合いによって幅広い味わいを楽しめます。味わいや香りを求めて様々な試行錯誤が繰り返され、現代の紅茶や烏龍茶が生み出されています。
【茶業者のトリビア】緑茶と紅茶、成分はどのような違いがあるの?

超簡単に説明するとすればですが、茶カテキン(ポリフェノールの一種※EGCG、ECG)が、テアフラビンに変化することで、「緑」が「紅」になるといえます。紅茶は、茶カテキンへの酸化酵素の働きでできます。(日本では、紅茶については「発酵」と表現しておりますが正しくは「aeration(エアーレーション)」。空気を送って酸化を進めることです。紅茶における発酵とは、微生物発酵とは違うといえます。
更に詳しく説明させていただくと、茶カテキンの酸化や重合によって生じるテアフラビン、テアルビジン、高度酸化重合は、紅茶特有の渋み成分になります。また、カフェインは煎茶などより多く含まれ、アミノ酸は煎茶より少ないものが多いといわれています。
日本茶の進化と文化的背景
日本茶は、特に緑茶の色と香りにこだわりながら進化してきました。煎茶や玉露の誕生により、日本独自の茶文化が形作られてきた歴史を辿ります。
日本固有のお茶文化についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
茶葉が繋ぐ文化の歴史:日本茶の色と味は進化してきている?
煎茶と緑茶の進化
日本の緑茶は、発酵を抑えることでその鮮やかな緑色と爽やかな味わいを保っています。煎茶の登場により、緑茶は急須で抽出して飲むという新しいスタイルが確立されました。それまでの番茶は赤や黄色が主流でしたが、煎茶は鮮やかな緑色を求めた製法で大衆に広まりました。玉露や抹茶も蒸しによる発酵抑制がその美しい緑色を支えています。日本人が生み出した緑茶は、日本の健康意識や詫び寂び文化と結びつき、今でも親しまれています。
日本茶の到達点:玉露
玉露は、煎茶の進化形ともいえるお茶です。日光を遮る「被覆栽培」によって、茶葉に甘みと旨味を蓄え、鮮やかな緑色を保持します。玉露の製法は特に手間がかかりますが、その独特の風味と高級感が、日本茶の最高峰として位置づけられています。色合いに拘るだけでなく、風味にまで拘りぬいた先人の知恵や工夫が日本独自の玉露という新しいお茶のジャンルを確立させました。
玉露についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
玉露って何?特徴と美味しい淹れ方を日本茶専門店が解説!
緑茶と日本の原風景
緑茶は、その鮮やかな色味や懐かしさ、そして詫び寂びの精神とともに日本の文化に深く根付いています。日本の風土に適しており、気候や土壌がもたらす味わいは、飲むたびに日本の風景や懐かしさを思い起こさせます。こうした緑茶文化が今もなお多くの人々に親しまれている理由は、その風味だけでなく、文化的価値にあるのではないでしょうか。
まとめ
お茶の発酵は、茶葉の風味や香りを大きく左右します。日本茶は特に発酵を抑えた製法が進化してきましたが、その背景には色や香りに対するこだわりがありました。萎凋や殺青といった重要な工程を経ることで、お茶はその独自の味わいを生み出します。さまざまな発酵度合いのお茶を楽しみ、その豊かな世界を味わってみましょう。
煎茶 古都の香【ことのかおり】

酔ってしまいそうな凝縮されたお茶の香りと、
柔らかな口当たり、舌に残る華やかな余韻が特徴。
質の高い茶葉を見極め厳選し、最適な仕上げを丁寧に施すことで出来上がった、
京都宇治の高級煎茶「古都の香」は流芳園の中で至高の逸品です。
茶種:煎茶
料金:2,160円 / 80g(税込)
煎茶 流芳園【りゅうほうえん】

新緑の香りを茶葉がそのまま包み込むように爽やかで、
良質な茶葉を厳選することで贅沢なコクを実現しています。
八十八夜(付近)に採れた茶葉で作っているため、
旬の味を堪能することができます。
老舗の名を刻んだ逸品、是非ご堪能あれ。
茶種:煎茶
料金:1,620円 / 80g(税込)
オリジナル玉露 夕誉【ゆうほまれ】

「オリジナルブレンド 夕誉」はどのようなお茶?
流芳園オリジナル玉露 夕誉は、簡単で淹れやすい高級緑茶。
水出しから熱湯まで幅広くお楽しみいただけます。
「お茶の淹れ方ってよくわからないわ」と言われるような方から、湯温や抽出時間など淹れ方にこだわる方も含め、より多くの方に美味しく簡単にご愛飲いただけます。夕誉は、八代目園主 谷口善右衛門がひたすらお茶と向き合い、多くの材料、数々の試作を繰り返し作り上げた、従来の緑茶のイメージを覆す全く新しい緑茶。天候と芽の動きから摘採のタイミングを見極めることで若芽に摘採することができ、若芽の茶をミル芽いい、そのミル芽(若芽)の旨味と充分な肥培管理をすることで作られる養分の旨味、独自の精選加工を施し、微量の高級宇治抹茶をあしらえることで凛とした香味が生まれます。その味わいは上品な香りとコク、それから透明感のある薄緑を表現することができ、うまみ・香り・水色、各々に品位を感じていただけるプレミアムな味わいに仕上げました。
茶種:オリジナル玉露
料金:1,620円 / 80g(税込)
オリジナル玉露 玉誉【たまほまれ】

「オリジナルブレンド 玉誉」はどのようなお茶?
“淹れ易く美味しいお茶”と新茶期にはお客様からご期待のお声が最も多い人気のお茶。
口当たりは軽く爽やかで柔らかみのあるコク、ほんのり緑っぽい黄色
、奥地に広がる緑茶の豊かな味わいが心地よいリッチテイスト。
一葉一葉をムラなく丁寧に火入れ加工。
玉露系の爽やかで甘みのある若芽の冠茶(かぶせちゃ)、
それにコクのある茶葉を合わせることで凝縮された香味と濃度感をつくります
「淹れ易くて、おいしい玉露を作ってみたら?」と
そんな先代(七代目)の遊び心を真剣にカタチにしたことで誕生しました。
覆いの利いたモノをブレンドし、芳醇な香りと甘みが広がります。
彩りに満ちた味わいを…。
茶種:オリジナル玉露
料金:1,080円 / 80g(税込)
素朴仕立 稀頭【まれがしら】

黄色い煎茶で、お茶らしい清涼感のある香りと後味のすっきりさが特徴です。
初々しい露天栽培の生葉を収穫し、浅く蒸して製茶しております。
そのため、爽快な香りだけでなく、
煎茶としての旨味も同時に味わっていただける逸品となっております。
茶種:素朴仕立(煎茶)
料金:648円 / 80g(税込)