こんにちは、流芳園(りゅうほうえん)です。
全国から茶師が集まり、
今年一番の茶師は誰なのか、
優勝者を決める大会が毎年開かれます。
お茶に関わる方以外は、
なかなか馴染みのない全国茶審査技術競技大会ですが、
どういった大会で、どんなことをして審査されるかなど、
今回解説していきますね!
「全国茶審査技術競技大会ってどんな大会?」
「どうな項目で審査するの?」
「優勝者にはどういった賞が与えられるの?」
今回はこういった疑問にお答えします。
☑本記事から分かること
・全国茶審査技術競技大会について
・審査項目や、基準について
・どういった賞がもらえるのか
☑記事の信頼性
・緑茶発祥の地 宇治田原に店舗
・創業200余年の日本茶専門店
・農林水産大臣賞を複数回受賞
全国茶審査技術競技大会とは?
全国茶審査技術競技大会について説明していきます。
大会の概要
全国の茶業者の若手が集い、
お茶の鑑定技術を競う「全国茶審査技術競技大会」。
全国茶業連合青年団が主催する「闘茶(=茶香服※利き茶)」を主とした
お茶のプロが競う、審査競技会です。
大会が開催される背景や、目的
茶業者のお茶の審査技術・鑑別能力を高めることを目的に、
1956年から開催されています。
大会のルールや、審査基準
では、お次はどういった種目で茶師たちは戦い、
どうのように審査されるのか、について解説していきますね。
大会の競技項目
大会には全国の茶産地から選りすぐりの100名が出場します。
競技は、茶期・品種・産地・闘茶(茶香服※利き茶)
の4種目を審査し実施されます。
茶期審査
一番茶・二番茶・三番茶を当てる審査。
審査では、お茶を飲まずに茶葉の形状や香りの特徴だけで産地を特定します。
■POINT
一番茶の特徴は、一年間養分を溜め込んだ茶畑から採れるお茶ですので、
「艶があり、重く感じます」。
二番茶は、一番茶を摘採から50日後が採れる時期の目安、
暑い時期に向かい、そして雨期にも重なりますので、
お茶は大きく成長する芽とできたての芽が混在していますので
「芽は不揃い、艶ありと艶消しが混ざり、一番茶よりは軽いお茶」になる傾向。
三番茶は、最後に採れるお茶、時期は暑さも安定した状態の真夏、
更に一番茶と二番茶を採った後の茶畑ですので
養分も少ないことも多く「艶消しで軽く感じます」、
それと宇治茶は、気候の条件からも二番茶まで、
三番茶の産地は静岡県もしくは鹿児島県と特定できた場合は、
産地の揉み方や香りから特徴をみつけることができるかもしれません。
品種審査
お茶の品種、「やぶきた」「さえみどり」「おくゆたか」等の7品種の中から、
5品種を当てる審査。
※5品種の選抜は大会当日に茶研究所から開会式の中で運営本部に引き渡されます。
茶碗の中の茶の葉に熱湯を注ぎ、
水色(すいしょく)、香り、葉の形状から、
緊張したり、イメージと違うと見分けにくいです。
※審査は、熱いお湯を茶葉にかけ、
茶葉は取り除かずに香りと味のテイスティングを行います。
■POINT
やぶきた品種は、「this is お茶 !」と言わんばかりの清涼感のある香りが特徴。
さえみどり品種は、甘く、葉っぱが緑で冴えがあります。
おくゆたか品種は、葉っぱはやや黄色よりの緑色、味わいがしっかりしている印象。
更に生育環境や被覆・肥培管理でも多くのバリエーションのお茶がつくれることからも
難易度も高く、おもしろみもあります。
産地審査
「宇治煎茶」「藤枝煎茶」「八女煎茶」「狭山煎茶」「土山煎茶」
「鹿児島煎茶」「宮崎煎茶」「北勢煎茶」「大和煎茶」「揖斐煎茶」などの
10産地のお茶を当てる審査。
※産地は年によりことなります。
針のようなお茶であっても、地域によって、伝統の技は異なります。
それらの特徴をしっかりと見分けるのがポイント。
審査では、お茶を飲まずに茶葉の形状や香りの特徴だけで産地を特定します。
闘茶(茶香服※利き茶)審査
まずは、「乾物審査」最初に5種類の乾物(茶葉)から味わいをイメージし、
記憶します。
その後、「利き茶」合計17回テイスティングします。
1回目は、5回お茶をテイスティングし、
2~4回目は、4回お茶をテイスティングします。
※テイスティング後すぐに札係が回ってきて、回答シールを貼ります。
2回目以降は、お茶のイメージが出来上がっているので、
テイスティングは4回でOKです。
■POINT
お茶ひとつ飲むたびに、必ず解答するルール。これが難易度を上げています。
「先程のお茶はあのお茶だった」などと既に回答しているお茶は
手元に回答シールが無いのでやり直せません。
また、1つ間違えるとマイナス2点となり、
間違えたお茶を理解していない場合はマイナス3点となることもあり得ます。
まずは、水色・香りをしっかりと見極めて、テイスティングすることが重要です。
煎じ手の役割と、配点について
煎じ手
煎じ手と呼ばれるお茶を淹れる者は、歴代のOBが担う重要な役割です。
不慣れな者が行うと、毎回香りや濃さの違いが大きくなり、難易度がUPします。
神経を使い、1回ごとに味が変わらないようにお茶を用意します。
自分に合った煎じ手に当たるかは、運ですね。
配点について
前半戦 ※約1時間
茶期:5点
品種:5点
産地:10点
後半戦 ※約1時間
闘茶(茶香服※利き茶):20点
■POINT
得点は、前半戦と後半戦の合計「40点」が満点となります。
昇段には正答率80%が必要な為、32点以上が目標。
特に苦手な審査が無い方は、「前半16点・後半16点」のようになり、
前半が12点の時は、ミスできなので非常に緊張します。
優勝者などに与えられる賞
大会優勝者には農林水産大臣賞が授与されます。
そして最高位を十段とし、成績優秀者(正答率80%以上)には段位を与えられます。
(初出場の最高段位は6段、以後成績優秀者は昇段が可能)
これを目指して皆は、一生懸命に練習します。
【豆知識】
実は、京都府には全国茶審査技術大会より歴史の古い、
同じ規模の大会があります。
京都府茶審査技術大会といい、京都府茶業連合青年団が主催。
※宇治・東宇治・宇治田原・和束・南山城・小倉・城陽・
京田辺・京都市・丹の国の10産地から地元の予選を通過した茶業者が集います。
規模も全国大会と同じ、100名以上が出場。
京都大会の特徴は、「産地・闘茶※茶香服」審査に『玉露』が使用されることです。
もちろん!大会優勝者には、農林水産大臣賞が与えられます。
■POINT
闘茶(茶香服※利き茶)審査に『玉露』が入ることで、
後半のテイスティングの際には舌の感覚が変わってきているので、
苦労するときがあります。
農林水産大臣賞受賞の茶師が選ぶ、おすすめのお茶を大紹介!
流芳園では、農林水産大臣賞を過去2回受賞しております。
そんな私が自信を持って選ぶ、おすすめのお茶をご紹介します。
玉露 秘園の露【ひえんのつゆ】
丁寧に茶葉を手摘みすることで生まれた、
柔らかみのある舌触りと上品な旨味が特徴。
うっすらと乳白の濁りが感じられる水色は、
濃厚な旨味が凝縮されたもので玉露本来の深い甘みと余韻を感じていただけます。
茶種:玉露
料金:3,240円 / 80g(税込)
煎茶 流芳園【りゅうほうえん】
新緑の香りを茶葉がそのまま包み込むように爽やかで、
良質な茶葉を厳選することで贅沢なコクを実現しています。
八十八夜(付近)に採れた茶葉で作っているため、
旬の味を堪能することができます。
老舗の名を刻んだ逸品、是非ご堪能あれ。
茶種:煎茶
料金:1,620円 / 80g(税込)
煎茶 特撰【とくせん】
“ただ淹れ易いだけではなく、
熱めのお湯、冷めたお湯…何℃で淹れても美味しい~”をめざして、
柔らかく味わい豊かな茶葉を厳選する茶師ならではの目利きと、
長年の経験から体得した絶妙な火入れの技術によって完成された一品。
茶種:煎茶
料金:1,080円 / 80g(税込)
素朴仕立 白折【しらおれ】
宇治玉露の呼び名で知名度が高い、
宇治田原産の上質な茶葉と茎を使用しております。
「果実のような味わいでのみごたえのあるお茶」をコンセプトに作っており、
素材の良さを生かした、まろやかな甘味が口の中に広がることでしょう。
茶種:雁が音(玉露)
料金:1,080円 / 80g(税込)
素朴仕立 友白髪【ともしらが】
清涼感、抹茶のような香り、コクのある味、マイルドな味わいなど、
バランスが効いている茶葉になります。
初心者の方でも淹れやすいお茶になるので、
お茶を嗜んでみたいと思っている方にはとてもオススメの商品です。
茶種:雁が音(かぶせ茶)
料金:864円 / 80g(税込)
素朴仕立 稀頭【まれがしら】
黄色い煎茶で、お茶らしい清涼感のある香りと後味のすっきりさが特徴です。
初々しい露天栽培の生葉を収穫し、浅く蒸して製茶しております。
そのため、爽快な香りだけでなく、
煎茶としての旨味も同時に味わっていただける逸品となっております。
茶種:雁が音(煎茶)
料金:648円 / 80g(税込)
玄米茶 抹茶入り玄米茶
抹茶入り玄米茶は、すべての良い所どりをしている玄米茶になります。
目で見て綺麗、香りも玄米が引き立ち、
味はお茶の味わいと抹茶の味わいを堪能できます。
玄米・茶葉・抹茶のハーモニーが合わさり、引き立ちます。
甘く飲みたい場合は湯冷ましすることがオススメ。
よりまろやかに優しい味わいになります。
茶種:玄米茶
料金:542円 / 100g(税込)
ほうじ茶 特上雁が音焙じ【とくじょうかりがねほうじ】
厳選された上質な一番茶を100%使用しております。
雁が音(=白い茎)が濁りのない香ばしい香りを作り出し、
またコクと余韻の上品さを同時に味わって頂けることでしょう。
素材を最大限に活かした「浅煎り」焙煎となっています。
茶種:ほうじ茶
料金:704円 / 100g(税込)
まとめ
いかがでしたでしょうか。
茶師のことや、全国茶審査技術競技大会について、
少しでも知って頂けたのかなと思っております。
流芳園としてもより良いお茶をお客さまにお届けすべく、
茶師としての技量を今後も高めていきますので、
私どものお茶をぜひ一度飲んで頂けますと嬉しいです!