味の記憶を辿る(前編):味と記憶と町のおっちゃん:茶師10段が語る“お茶”の未来

こんにちは、流芳園(りゅうほうえん)です。
先日、立命館大学 食マネジメント学部の鎌谷かおる先生が弊園にお越しくださり、谷口(八代目)との対話を通じて、「味の記憶」や「お茶と地域文化」について一緒に考える機会をいただきました。今回は、その語り合いの一部をご紹介しながら、「味の記憶」をテーマに、私たち流芳園が考える“お茶の未来”について綴ってまいります。


「五感に残るお茶の記憶とは?」
「空間と記憶がつむぐ茶文化の未来とは?」
今回はこういった疑問にお答えします。

本記事から分かること

 ・五感に残るお茶の記憶とは?

 ・空間と記憶がつむぐ茶文化の未来とは?

 ・流芳園オススメのお茶の紹介

記事の信頼性

流芳園の景観

・緑茶発祥の地 宇治田原に店舗

・創業200余年の日本茶専門店

・農林水産大臣賞を複数回受賞

五感に残るお茶の記憶

お茶の記憶は、舌で味わうものだけではありません。香りや手触り、時間、空気感といった五感のすべてが、その一杯の中に宿ります。

匂いでよみがえる、子供時代の宇治

八代目である私・谷口にとっての味の原風景は、子供時代に吸い込んだ茶工場からの排気の香りです。山へ遊びに向かう途中、製茶の香りがふと鼻をかすめる──その一瞬の記憶が、今なお、茶づくりの感覚の核に残っています。

熱湯でうまい”お茶を目指して──記憶に残る一杯への挑戦

高級な煎茶や玉露は「ぬる湯で淹れるのが常識」とされてきました。確かに、低温でじっくりと淹れたお茶には繊細な甘味と旨味が引き出されます。でもその一方で、「もっと手軽に、もっと多くの人に、心から“美味しい”と感じてもらえるお茶が作れないか」という思いが、私の中にずっとありました。

きっかけは、父がふと口にしたひと言──「熱湯でも美味しい高級茶ができたら、喜ばれるだろうな」という願いでした。
その言葉がずっと心に残っていて、入社後しばらくしてから本格的に取り組み始めたのが、“熱湯でもうまい”お茶づくりです。

そして2012年、八代目として初めて商品化させていただいたのが、当園のオリジナル茶『夕誉(ゆうほまれ)』。
熱湯で淹れても水色が美しく、香り、味も良い、三拍子そろったこの一杯は、先代に初めて“これは良い”と認められた特別な記憶の詰まったお茶。

この挑戦を通してあらためて感じたのは、味とは「記憶」と深く結びついているということ。
誰かの暮らしの中で、ふと思い出されるような味をつくっていきたい──そんな思いが、今の私のお茶づくりの原点になっています。

地域性を決めるのは、土地ではなく“人”のエゴ

各産地の味の方向性を決めているのは、「この味が良い」と定めた人の感性です。つまり、お茶の味は人の“エゴ”の積み重ね。地域の味は土地に宿るのではなく、人の手と憧れによって創られていくのです。

地域の味を作る茶農家さんに興味がある方はこちらの記事も参考にしてください。

茶農家 ~茶師と二人三脚で至極の一杯を届けるプロフェッショナル~

空間と記憶がつむぐ茶文化の未来

「味の記憶」は単なる郷愁ではありません。それは、文化として未来へつないでいくべき大切な体験でもあります。

“町のおっちゃん”になりたかった茶師十段

メディアに取り上げられるようになってからも、私の理想像はずっと「町の茶屋のおっちゃん」です。来てくれた人にお茶を淹れ、ちょっと話して、また来てくれる──そんな人と人との日常の中にこそ、本当の茶文化があると信じています。

お茶の余韻をデザインするという発想

お茶を提供する時、私が大切にしているのは「余韻」。舌に残る渋み、香り、そして空間全体の設計によって、一杯のお茶が記憶として深く残るように意識しています。「飲む」だけでなく、「時間を味わう」こと──それが流芳園のおもてなしです。

お茶を空間や時間と共に楽しむ具体的な方法に興味のある方はこちらの記事もご参照ください。

愛犬・愛猫と共に紡ぐお茶を楽しむ空間での癒しのひととき

お茶の効果に関心のある方はこちらの記事も面白いかもしれません。

心を満たすティーエチケット:お茶を通じて味わう心の豊かさ

鎌谷先生が語る「地域の味覚の無意識な継承」

鎌谷先生が語ってくださった中で特に印象的だったのが、「地域の味って、無意識に継承されていくものなんです。誰かが“この味がいい”と決めるわけではなく、日々の生活の中で自然と定着していく。関西と関東でだしの味が違うように、お茶の好みもそうやって文化として根づいていく」とのお話でした。

まさに、お茶の味や香りを通じて記憶が育まれるという点で、私たち茶業者が日々感じている実感と深くつながるものであり、大きな示唆をいただいたと感じました。

私たちが日々つくるお茶の味わいも、消費者の舌に残る記憶も、意識的にデザインされたものだけではなく、その土地で育まれた日常の積み重ねから自然に生まれてくるものです。だからこそ、私たちは「こうあるべき味」を押し付けるのではなく、地域の人々が育ててきた好みや感覚に敬意を払いながら、その延長線上にある新しいお茶のあり方を模索する必要があります。

鎌谷先生の言葉を通じて、「地域とともに味をつくっていく」という視点の大切さを改めて感じました。そして私は、そうした味や文化の記憶を次の世代に手渡していく役目を、お茶づくりの中で果たしていきたいと強く思っています。一杯のお茶が、ある人の心に残り、その人の人生の中で小さな幸せの時間として息づいていく。そんなお茶をもっとたくさん届けたい──そうした想いが、私たちの原動力です。

味の記憶を、次の一杯にのせて

いかがでしょうか。味の記憶を、次の一杯にのせて「味の記憶」は、誰かの記憶の中だけに残るものではありません。一杯のお茶が、五感とともに誰かの人生にそっと寄り添う。私たち流芳園は、そんな一杯をこれからも丁寧に作り続けていきます。どうぞ、あなたの「味の記憶」の1ページに。流芳園では、茶師が丁寧にブレンドしたお茶をオンラインストアで購入可能ですので、ぜひお試しください。

甘露【かんろ】

流芳園の甘露

玉露本来の甘さと共に、果実のような香味がしっかりと口の中で感じられます。
また、玉露の芯の部分を贅沢に使用することで、
上品な香りと柔らかみのあるコクを合わせ持った贅沢な玉露となっています。

茶種:玉露
料金:2,160円 / 80g(税込)

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オリジナル玉露 夕誉【ゆうほまれ】


「オリジナルブレンド 夕誉」はどのようなお茶?

流芳園オリジナル玉露 夕誉は、簡単で淹れやすい高級緑茶。
水出しから熱湯まで幅広くお楽しみいただけます。
「お茶の淹れ方ってよくわからないわ」と言われるような方から、湯温や抽出時間など淹れ方にこだわる方も含め、より多くの方に美味しく簡単にご愛飲いただけます。その味わいは上品な香りとコク、それから透明感のある薄緑を表現することができ、うまみ・香り・水色、各々に品位を感じていただけるプレミアムな味わいに仕上げました。

茶種:オリジナル玉露
料金:1,620円 / 80g(税込)

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オリジナル玉露 玉誉【たまほまれ】


「オリジナルブレンド 玉誉」はどのようなお茶?

“淹れ易く美味しいお茶”と新茶期にはお客様からご期待のお声が最も多い人気のお茶。
口当たりは軽く爽やかで柔らかみのあるコク、ほんのり緑っぽい黄色
、奥地に広がる緑茶の豊かな味わいが心地よいリッチテイスト。
一葉一葉をムラなく丁寧に火入れ加工。
玉露系の爽やかで甘みのある若芽の冠茶(かぶせちゃ)、
それにコクのある茶葉を合わせることで凝縮された香味と濃度感をつくります
「淹れ易くて、おいしい玉露を作ってみたら?」と
そんな先代(七代目)の遊び心を真剣にカタチにしたことで誕生しました。
覆いの利いたモノをブレンドし、芳醇な香りと甘みが広がります。
彩りに満ちた味わいを…。

茶種:オリジナル玉露
料金:1,080円 / 80g(税込)

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煎茶 古都の香【ことのかおり】

流芳園の古都の香

酔ってしまいそうな凝縮されたお茶の香りと、
柔らかな口当たり、舌に残る華やかな余韻が特徴。

質の高い茶葉を見極め厳選し、最適な仕上げを丁寧に施すことで出来上がった、
京都宇治の高級煎茶「古都の香」は流芳園の中で至高の逸品です。

茶種:煎茶
料金:2,160円 / 80g(税込)

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素朴仕立 稀頭【まれがしら】

流芳園の稀頭

黄色い煎茶で、お茶らしい清涼感のある香りと後味のすっきりさが特徴です。
初々しい露天栽培の生葉を収穫し、浅く蒸して製茶しております。

そのため、爽快な香りだけでなく、
煎茶としての旨味も同時に味わっていただける逸品となっております。

茶種:素朴仕立(煎茶)
料金:648円 / 80g(税込)

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宇治の昔【うじのむかし】

流芳園の宇治の昔

抹茶の良い香りと、コクと苦味が丁度良く合わさった味わいが特徴。
初心者の方からお稽古用まで幅広く使用できる、
使い勝手が大変良い抹茶として皆さまから親しまれております。
また、和菓子だけでなく洋菓子とも相性が良いため、
特別な時間を過ごすことのできる逸品です。

茶種:抹茶
料金:1,404円 / 40g(税込)

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